2012年02月25日
2012年02月25日
黒い家 / 貴志祐介
1997年6月発行、貴志祐介/著。 社会福祉がサイコを生むという飛躍した論理に説得力があってオモシロい。 要は、種の保存のために、生物が行う戦略は2種類あって、 1つは、昆虫みたく、たくさん生み棄てて、その内の何割かが成長するだろうという戦略、 他の1つは、人類みたく、少数を大事に育てるという戦略。 現代社会の進んだ社会福祉の中においては、 実際的に、生み棄てても人の子供は育つ訳で、 結局、昆虫の戦略をとるのが人類にとってもより有効、有利になる。 結果、弱者に優しい社会福祉が、 人間関係の基本であるところの親子の情愛を感じないサイコパスが生まれるのを助長している、というもの。 和歌山毒物カレー事件を思い出す。 落書きだらけになって放火されたあの家は黒く無かったけど、 事件は、この本よりも後(1998年7月)だから、 その合間に読んだ人は、さぞかし戦慄しただろうと思う。 ジャンルはホラーということだけど、 別にオカルトでは無い。 何をそんなに恐いのかと思ったけど、 すごく恐い。 満員電車の中で独りで怖がってる。 かすかに足を引きずる音や、 ニアミスするシーンとか、 一旦、回避できたと思った後に 波状的に襲いかかってくるゾクゾクする感じが、 緻密、とゆーか精密に描写される恐怖や悪意が、 後半に向かって加速する。 さすが、100万部売れた本。 でも、最後がなぜか説教くさい。 敬称略
Posted by hbjwyrphmc at
04:52
│Comments(0)